債務整理すると家族にどんな影響があるのか?
債務整理をすることで家族にどんな影響があるのかをわかりやすく解説します。家族に大きな影響があるのは、「家族が借金の保証人になっている場合」「自己破産して、破産者名義の持ち家に家族が住んでいる場合」の2つで、これに当てはまらない場合は影響は限られています。実際にある影響と、心配しなくても良いこと、債務整理の影響を抑える方法についてもまとめました。
目次
債務整理は家族への影響が少ない

基本的に、債務整理をしても、本人以外の家族に対して悪い影響が出ることはあまり多くありません。債務整理は、借金に困った債務者が経済的に再建するための制度であり、債務者にペナルティを科すための制度ではないからです。
債務整理することで家族にも大きく影響するケースとしては、以下の二つが挙げられます。
(1)家族が借金の保証人になっている場合
→債務整理により家族に請求が行くことになる
(2)自己破産して、破産者名義の持ち家に家族が住んでいる場合
→家は売却され家族も引っ越しを与儀なくされる
逆に言うと、上記の2つに当てはまらなければ、家族への債務整理の影響は限られています。
・家族名義の財産は処分されない
・自分から言わない限り、親戚や近所の人に債務整理が知られることはほぼない
・家族は借金やクレジットカードの利用が可能
(ただし、稀にクレジットカードの作成やローンが組めない場合がある)
・子供の進学や就職、結婚に影響はない
(ただし、奨学金を利用しての進学に影響する可能性がある)
・個人再生や自己破産の場合、家計簿の作成や書類の取り寄せに協力してもらう必要がある
また、債務整理の種類によっても、どの程度家族に影響があるかが異なってきます。債務整理とは、法律的に認められた借金問題解決のための手続きですが、以下の3つが良く用いられます。
(1)任意整理
裁判所を通さない手続きで、債権者である金融機関や貸金業者と私的に交渉し、利息のカットや返済計画の見直しを行います。
(2)個人再生
裁判所を通す手続きで、借金総額を5分の1(最大10分の1)程度に大幅にカットし、減額後の借金を3~5年かけて返済します。
(3)自己破産
裁判所を通す手続きで、借金を帳消しにします。債務者が一定額以上の財産を持っている場合は、裁判所によって換価され債権者に配当されます。
このうち、(1)任意整理が最も家族への影響が少なく、(3)の自己破産が最も大きくなる可能性があります。(2)の個人再生はその中間にあると言えます。
【債務整理の種類と影響力について】

注意が必要なのは、借金問題を解決する手段として強力であるほど、家族への影響も大きくなりやすいことです。
借金問題が比較的軽いうちに弁護士に相談すれば、任意整理で解決でき、その場合は家族への影響は全くないか、あったとしても最小限で済みます。しかし、借金問題を放置して自己破産するしかなくなった場合、家族に迷惑をかける可能性があります。
家族に迷惑をかけたくない場合は、早期に弁護士に相談し、借金問題を解決したほうが良いでしょう。
債務整理が家族に与える影響
債務整理をすることで家族に具体的にどんな影響が出るのかをまとめました。
(1)自己破産しても家族名義の財産は処分されない
自己破産により、家族名義の不動産や、家族の財産が処分されることはありません。「自己破産をすると自宅や財産を手放さなくてはならない」と聞き、同居している家族の財産までとられてしまうのではないかと心配になると思いますが、家族の財産は処分の対象外です。
そもそも、自己破産をしても破産者の財産が全て奪われるのではなく、生活道具や、中古品として20万円以下の価値しかない品物は原則として手元に残せます(東京地裁の場合)。不動産や高価品以外はほぼ手元に残せるでしょう。
また、賃貸住宅に住んでいる場合は、家賃をきちんと支払い続ければ、今まで通りに住むことができます。かつては、自己破産をすると、家主は借主の破産を理由に契約を解除できるという規定がありましたが、今は削除されています。
(2)自分から言わない限り、親戚や近所の人に債務整理が知られることはほぼない
債務整理をしたことは、お金を借りた債権者や、借金の連帯保証人以外には基本的に知られることはありません。
自己破産や個人再生をすると、「官報」という国の機関誌に住所や氏名が載りますが、個人情報はネットでは検索できないように工夫されています。また、一部の職業を除いて、官報を日常的に読むという人はほとんどいません。
従って、自分から言わない限りは、親戚や近所の人に債務整理が知られることはまずありませんし、家族の評判にも影響することはないでしょう。
(3)家族は借金やクレジットカードの利用が可能
債務整理をすると、本人は5~7年の間、新たな借金やクレジットカードの利用・作成が難しくなりますが、家族には原則として影響はありません。
借金の融資やクレジットカードを作成・更新する際、申し込みを受けた企業は「信用情報機関」の記録を参照します。この信用情報機関の記録には、個人のお金の貸し借りの情報(信用情報)の履歴が一定期間残っており、債務整理をしたことも記録されます。
債務整理をしたということは、お金に困って約束通りの返済が困難になったということですから、審査に通ることが難しくなります。こうしたネガティブな情報を事故情報と言います。事故情報があると、履歴が残る5~7年の間は新たな借金やクレジットカードの利用・作成が難しくなるのです。(ブラックリスト入り)
信用情報は個人単位で記録され、同居する家族の情報は別に記録されます。このため、家族の誰か一人がブラックリスト入りしても、他の家族の信用情報に傷がつくことはありません。
ただ、100%影響がないとは言い切れません。まれにですが、同居している同姓の家族に対する審査の目が厳しくなることがあります。
(4)子供の進学や就職、結婚に影響はない
子供の進学や就職、結婚に関しても、自分から言わない限り、親の債務整理が発覚し、悪い影響が出ることはありません。
進学に関しては、子供の学力等で審査され、学校側が子供の家族の債務整理の履歴を調べることはありません。職業に関しても、親の債務整理にかかわらず、自由に職業を選ぶことができます。
また、戸籍や住民票に債務整理の事実が載ることはありません。従って、子供が結婚をする際にも影響はないでしょう。
勿論、子供が、自分の親が債務整理をしたことを相手や相手の家族に話せば、事実上の影響が出る可能性はあります。しかし、黙っている限りは、バレることはまずありません。
ただし、子供の進学に関し、奨学金を利用する場合は、ブラックリスト入り中の親は保証人になれないことに注意が必要です。
(5)個人再生や自己破産の場合、家計簿の作成や書類の取り寄せに協力してもらう必要がある
個人再生や自己破産をする際には、生計を同一にする家族がいる場合、家族の協力が必要な書類(家計簿)や、家族に書類を取り寄せてもらう必要があります。
個人再生・自己破産の際は、裁判所に「家計収支表」と言う、本人及び同居家族全員の収入や支出を記録した書類を作成して提出する必要があります。そのために、家族の協力を得て家計簿をつけなくてはなりません。
また、配偶者や親、成人済みの子などの同居家族については、家族の収入を証明する書類の提出を求められます。パートやアルバイトであっても、直近2ヶ月分の給与明細のコピーが必要です。年金受給者の親がいる場合は、年金振込通知書のコピーを提出しなくてはなりません。
これらは、あくまで裁判所が家計全体の状況を正確に把握する資料として求めるもので、家族の給与や年金が裁判所に回収されてしまうことはありません。
債務整理は家族や子どもに知られるのか?
債務整理の種類によって、家族や子供に知られやすいかどうかが異なります。
(1)任意整理
弁護士に依頼することで、事前に希望すれば、同居している家族や子供にもバレずに手続きができます。弁護士が、法律事務所からの連絡だとわからないようにするなど、取り計らってくれるでしょう。
(2)個人再生
同居する家族にも、家計簿や収入に関する書類の取り寄せに協力してもらう必要があるので,その意味で家族に黙って手続きをするのはハードルが高いといえるでしょう。なお、弁護士に依頼していれば、自宅に裁判所からの通知が届くことはありません。
(3)自己破産
(2)個人再生と同様の理由のほか、破産者名義の財産を裁判所に回収されてしまうので、そのような財産がある場合は、同居している家族に黙って手続きするのは難しくなります。
もっとも、(2)や(3)のケースでも、家庭や財産の状況によっては、同居する家族に内緒で手続きできる可能性がありますので、弁護士に相談してみましょう。
とはいえ、借金問題は、深刻であるほど家族の協力を得て解決を目指すことが最善です。
債務整理が家族や子どもに影響するのはどういうパターンか?
債務整理により家族に大きな影響が出るのは以下の2パターンです。
(1)家族が借金の保証人になっている場合
家族が借金の保証人になっている場合、債務整理をすると、代わりに家族に請求が行きます。特に、個人再生や自己破産の場合、債権者全員が手続きの対象になるので、家族が請求される事態は避けられません。必ず事前に相談し、必要な場合は家族も債務整理を行ってください。
配偶者が保証人となっている場合、債務整理後に離婚しても、保証人としての地位に関係はないので、請求されてしまいます。
ただし、任意整理の場合は、保証人がついている借金を整理対象から外すことで、保証人に請求が行かずに済みます。任意整理は、借金問題の程度が比較的軽いケースでないと使えないため、家族に迷惑をかけたくない場合は早めに手続きを取ったほうが良いでしょう。
(2)自己破産して、破産者名義の持ち家に家族が住んでいる場合
自己破産をすると破産者名義の家は売却され、家族も引っ越しを与儀なくされます。交通の便が悪く価値の低い不動産であれば、売却が難しく、例外的に手放さずに済む可能性もありますが、原則として不動産は手放すことになると考えて下さい。
その他に、家族に影響が出るパターンとしては、以下が考えられます。
(3)破産者名義のカーローンやカーリースを契約している場合
カーローンで車を買って返済中の場合、「所有権留保特約」がついていると、自己破産により車はローン会社に引き上げられてしまいます。また、カーリースで車を借りている場合、自己破産をすると契約が終了するため、車はリース会社に返却しなくてはなりません。
これらの車を本人だけではなく、家族の移動手段として利用している場合は、家族に影響が出ます。
なお、過去にローン返済済み、もしくは一括で購入した車の場合、中古車としての価格が20万円以下であれば手放さずに済みます。20万円以上の場合は裁判所によって処分されます。
(4)稀にクレジットカードの作成やローンが組めない場合がある
債務整理をした人と同居している同姓の家族が借金やクレジットカードの契約をする際、稀に、審査の目が厳しくなることがあります。
家族の誰かが債務整理をしても、基本的に、他の家族の信用情報に影響はありません。しかし、ブラックリスト中の人と同じ住所・同じ名字の人が借金などの審査に申し込んだ場合、企業が「申込者は、債務整理をした人と家計を同じくする家族かもしれない」と考えます。その分、審査のハードルが上がる可能性があります。
家族が「まず審査落ちすることは無いと思っていたのに、落ちてしまった」と言っている場合、家族に債務整理をした人がいることが影響した可能性があります。
対策としては、家族が別居すれば、別の世帯と受けとられますので、問題なく契約ができるでしょう。
(5)子供の奨学金の保証人になれない
債務整理をした場合、ブラックリスト期間中は、子供の奨学金の保証人になれません。この場合、信用情報に傷のない家族や配偶者に保証人になってもらうか、保証料を払って機関に保証人になってもらう必要があります。
債務整理の影響が気になる場合は弁護士に相談を
債務整理は、種類によっても家族への影響が違います。任意整理が最も家族への影響が少ないのですが、借金問題が比較的軽い人向けの手続きなので、借金問題が深刻化する前に早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
任意整理での解決が難しく、個人再生や自己破産が必要なケースであっても、「具体的に、家族にどのような影響が出ることが心配なのか」を明確化して、弁護士とよく打ち合わせをすることで、影響を抑えることができる場合があります。
債務整理は、制度上は本人だけでも手続きが可能ですが、家族や社会に対する影響を抑えたければ弁護士に相談することが重要です。早めの相談で、スムーズな借金問題解決を目指しましょう。
この記事の監修者

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中央大学大学院法学研究科⺠事法専攻博士前期課 程修了
前東京地方裁判所鑑定委員、東京簡易裁判所⺠事 調停委員
東京弁護士会公害環境特別委員会前委員⻑


