個人再生にかかる期間や早めに終わらせる方法を解説!

借金問題を解決するために個人再生をしたくても、どのくらいの期間がかかるのか?どのくらい費用がかかるのか?心配になる方も少なくありません。

個人再生を申し立ててから再生計画案の認可決定が降りるまでにだいたい6か月くらいかかるのが標準的です。ただし準備期間も必要なので、実際にはもう少し時間がかかると考えた方が良いでしょう。

この記事では個人再生にかかる期間や費用、手続きの流れなどについてわかりやすく解説します。借金があって個人再生に関心のある方はぜひ参考にしてみてください。

個人再生をする場合、どれくらいの期間と費用がかかるのか

個人再生とは、裁判所へ申立をして借金の返済義務を大きく減額してもらう手続きです。借金の減額率は5分の1~10分の1程度になるケースもあり、借金問題解決にとても有効な手段といえます。

小規模個人再生と給与所得者等再生

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。

小規模個人再生とは原則的な個人再生の方法で、会社員や自営業者など多くの方が利用できます。

一方給与所得者等再生は会社員や公務員などの収入が極めて安定している方のみが利用できる個人再生手続きです。

この記事では主に利用されることの多い「小規模個人再生」をもとにして流れや期間、費用を解説していきます。

個人再生の流れ

個人再生の流れは以下のとおりです。

専門家に個人再生手続きを委任

まずは弁護士や司法書士に個人再生手続きを依頼します。個人再生を素人の方が1人で進めるのは難しいからです。無料法律相談などを利用すると良いでしょう。

受任通知の送付と債権調査、申し立て準備

受任した弁護士や司法書士が各債権者へ受任通知を発送し、債権調査を行います。その間に債務者は必要書類を集めなければなりません。

個人再生の申立て

申し立ての準備ができたら個人再生の申立を行います。

その後、個人再生委員が選任されて債務者との面談が行われるケースもあります。

再生手続開始決定

申立に特に不備がなければ裁判所で再生手続開始決定がおります。

債権者からの債権の届出

再生手続開始決定がおりると、債権者から債権届出が行われます。

再生計画案の作成と提出

債務者は再生計画案を作成し、期限内に裁判所へ提出しなければなりません。

書面による決議

再生計画案が提出されると、裁判所から各債権者へ送られて意見聴取されます。

この手続きを書面による決議といいます。

なお給与所得者等再生の場合には書面決議は行われません。

再生計画案の認可と確定

書面決議において過半数の債権者が反対しなければ、再生計画案が認可されます。

返済の開始

再生計画案が認可されると、2~4か月ほど後から返済がはじまります。

個人再生後の返済期間は、原則3年ですが、返済が困難な「特別の事情」がある場合には、最長5年まで認められる場合があります。

個人再生にかかる費用

個人再生にかかる費用の内訳は以下のとおりです。

  • 申立手数料(収入印紙)…10000円
  • 郵便切手代…数千円
  • 官報公告予納金…13000円~20000円程度
  • 個人再生委員の予納金(個人再生委員が選任されない場合は不要)…15万円程度

弁護士に個人再生手続きを依頼すると、上記以外に弁護士報酬がかかります。

個人再生にかかる平均的な期間とその理由

個人再生にかかる期間は、「申立までの期間」と「申立から再生計画認可決定までの期間」「支払い期間」に分けられます。

以下でそれぞれについてみてみましょう。

申立までの期間

個人再生を弁護士などに相談し、実際に申立を行うまでに、弁護士費用等の積立てをするケースが多数です。

申立から再生計画認可決定までの期間

申立が行われてから再生計画認可決定までの期間はだいたい6か月くらいです。

支払期間

個人再生後の支払い期間は原則として3年です。ただし返済が困難な「特別の事情」がある場合には、最長5年まで認められる場合があります。

少しでも個人再生を早く終わらせるには?

個人再生を行う場合、できればはやめに終わらせたいと考える方が多いでしょう。

個人再生を少しでも早く終わらせるには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?

申立段階で必要書類を早めに揃える

まずは個人再生の準備段階での対応が重要です。個人再生には多数の書類が必要で、申立前に債務者が集めなければなりません。

必要書類を集めるのが遅くなると、手続きが完了するのがどんどん延びてしまいます。

申立てに必要な書類は早めに集めて弁護士などの専門家に渡しましょう。

手続き中の弁護士からの連絡に早めに応答する

個人再生の手続き中にも弁護士や司法書士から連絡が来て、書類の追完などを要求されるケースが多々あります。こういった要請にきちんと対応しないと手続きにかかる期間が延びてしまうでしょう。個人再生手続き中の弁護士からの連絡には早めに応答すべきです。

分割回数を少なくする、滞納しない

個人再生にかかる費用を分割払いにする場合、払い終わるまで申立てが行われないケースが多数です。よってなるべく分割払いをしないで一括払いにしたほうが早めに手続きは進みます。分割払いするとしても、回数を少なくしましょう。

また費用の支払いを滞納すると申立が遅れるので、滞納しないようにきちんと払うことも重要です。

個人再生でブラックリストに登録される期間は?

個人再生をすると、いわゆる「ブラックリスト」の状態になります。ブラックリストとは、個人信用情報に事故情報が登録されて、ローンやクレジットを利用できなくなった状態です。個人信用情報に事故情報が登録されると、貸金業者や金融機関による審査で情報照会されてしまうので、審査に通らなくなってしまいます。

個人再生後のブラックリストの期間は、おおむね5~10年間です。

特に金融機関でローンを利用したい場合、長めの期間、ブラックリスト状態になる可能性があります(多くの金融機関が加盟するKSCでは、10年間個人再生による官報公告情報が登録されるため)。

各信用情報機関では本人からの情報開示請求を受け付けているので、気になる場合には確認すると良いでしょう。

2回目の個人再生までどれくらいの期間が必要か?

個人再生には回数制限がなく、何度でも繰り返せます。

ただし2回目の個人再生までに期間をおかねばならないケースがあります。

以下で2回目の個人再生までにどのくらいの期間が必要か、みてみましょう。

小規模個人再生の後、小規模個人再生や給与所得者等再生を行う

1回目に利用したのが小規模個人再生の場合、2回目以降の個人再生に特に制限はありません。ただし「ハードシップ免責」を受けた場合には期間制限があります。

その場合、ハードシップ免責を受けた個人再生の再生計画認可決定時から7年間は次の給与所得者等再生までに時間をおかねばなりません。

給与所得者等再生の後、給与所得者等再生を行う

1回目に利用したのが給与所得者等再生の場合、2回目に給与所得者等再生を行うまでに一定期間をおかねばなりません。具体的には1回目の給与所得者等再生の再生計画認可決定時から7年の期間経過が必要です。

まとめ

個人再生は、スムーズに進めば再生計画認可決定まで8か月程度で終わります。ただし状況によっては1年以上かかる場合もあります。早めに終わらせるため、専門家の指示に従って手続きを進めましょう。

この記事の監修者

弁護士 河東宗文
弁護士 河東宗文
中央大学大学院法学研究科⺠事法専攻博士前期課 程修了
前東京地方裁判所鑑定委員、東京簡易裁判所⺠事 調停委員
東京弁護士会公害環境特別委員会前委員⻑