自己破産後にカーローンを組む方法と注意点
自己破産後に自動車ローンを組む方法についてまとめました。自己破産後5~7年するとローンが組めるようになりますが、中古車販売店の自社ローンであれば自己破産直後でも組める可能性があります。また、自動車ローンに通りやすくするポイントや、自己破産後にローン以外で車を利用する方法、自己破産前に気をつけるべき行為について概説します。
目次
自己破産後に自動車ローンを組む方法

自己破産後、5~7年ほどの期間は信用情報機関に自己破産の記録が残るので、基本的に自動車ローンを組むのは難しくなります。その期間が経過すれば、再び自動車ローンを組むことは可能です。
ただし、5~7年経過していなくとも、(1)自社ローンを利用する、(2)家族に自動車ローンを組んでもらう、といった方法で、自動車ローンを組むことができる可能性があります。
(1)自社ローンを利用する
自社ローンとは、主に中古車販売店で、独自に車の購入代金を立て替えてくれる分割払いのことです。厳密にはローンのような金融商品ではなく、支払い方法の一つとして販売店と契約を結びます。
自社ローンの特色として、審査は信用情報機関の記録を参照せず、販売店独自の基準で判断されることが多く、自己破産をしていても審査に通る可能性があります。
自社ローンの特徴を以下にまとめました。
①通常のカーローンよりも審査に通りやすい
過去に自己破産などの債務整理をしている、数か月以上借金の滞納がある、収入が安定しないなど、信用情報に不安がある場合でも審査に通ることがあります。
②審査申し込みをしてからすぐに車に乗れる
銀行のカーローンは申し込みから実際に車を購入できるようになるまで数日から数週間かかります。自社ローンの場合、書類審査などがスピーディーで、早い場合は審査申し込みをした当日に納車が完了します。
③主に中古車販売店の仕組みなので、新車を購入できるケースは少ない
中古車なので、販売店によっては整備不良の車を売っているリスクがあります。
④金利ゼロが多いが、代わりに手数料や保証料がかかる
利息の代わりに手数料や保証料がかかることが一般的です。この方式は、金利の計算のように複雑ではないので総支払額が分かりやすいというメリットがあります。デメリットとしては、総支払額では一般的なカーローンより高額になることがあります。
⑤分割回数が12~36回程度と、一般のカーローンより短めの場合が多い
分割回数が短いと、それだけ一回当たりの支払い額が大きくなります。
⑥保証人や保証会社の利用を求められることがある
自社ローンは支払いの遅延に備えて保証人や保証会社の利用を求めることがほとんどです。保証人になってくれる人がいない場合、保証会社を利用しますが、ローンとは別に保証金が上乗せされます。
(2)家族に自動車ローンを組んでもらう
信用情報は個人的なものなので、自己破産をしても、配偶者や親、子供などの信用情報に影響はありません。自己破産をしたが車がどうしても必要という場合、家族にカーローンを組んでもらう方法かあります。
ただし、自分が主に乗る車を家族に買ってもらう場合、「名義貸し」とみなされ、問題視される可能性があります。名義貸しとは、自分の名義を他人に貸し、契約上の名義人になることです。例えば、親の名でカーローンを組んで、買った車を子がもっぱら使いまわしていると、親が名義貸しとして刑法246条の詐欺罪に問われることがあります。
家族にカーローンを組んでもらうのは、その家族が主に運転をする場合だけにしておきましょう。
自己破産後5~7年は自動車ローンが組めない理由とブラックリスト
自己破産後、一定期間自動車ローンが組めなくなるのは、信用情報機関の記録に自己破産の記録が登録されるからです。この記録が登録されている期間はローンや借金が組めないほか、分割払いやクレジットカードの利用も難しくなります。これを俗にブラックリスト入りと言います。
信用情報機関とは、お金の貸し借りやクレジットカードの利用など、個人の信用に基づいたお金の取引の履歴を記録しておく機関で、日本に3つあります。
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
金融機関や貸金業者、クレジットカード会社などはこの3つのいずれかに加盟しており、ローンの申し込みを受けると信用情報機関の記録をもとに審査をします。自己破産の履歴が残っていると、ブラック情報(事故情報)として審査に落ちてしまいます。自己破産の記録は5~7年程度残り、その後は削除されます。
先程紹介した自社ローンは、信用情報機関の記録を閲覧しないため、ブラックリスト期間中でもローンが組める可能性があるのです。
自己破産後、自動車ローンに通りやすくするポイント
自己破産後5~7年程度経過したら自動車ローンが組めますが、審査に通りやすくするためにはいくつかポイントがあります。
(1)信用情報機関に情報開示請求をする
信用情報機関は、本人が情報開示を請求することで信用情報の履歴を開示します。事故情報が本当に消えているかどうか、3つの機関に情報開示請求をして確認しましょう。情報開示は、請求の手段にもよりますが1,000円~2,000円程度の手数料が必要です。
(2)自己破産当時債権者だった会社・系列会社は避ける
自己破産をした際に借金があり、手続きの影響を受けた会社は、ローンを申し込んでも落ちる可能性が非常に高いです。その理由は、各社は独自の顧客リストを持っており、自己破産をするとその顧客リストにブラック情報として記載されてしまうからです。(社内ブラックリスト)
信用情報機関と違い、その情報はいつまでも残ることが珍しくありません。
また、自己破産当時債権者だった企業のグループ企業も内部情報を共有している可能性があるので避けたほうが良いでしょう。
(3)ローン審査に通りやすい販売店を選ぶ
自動車販売店の中でも、規模が大きく、ローン取引実績の多い販売店を選ぶことで、審査に通りやすくなることがあります。
(4)プラスの信用情報を積み重ねる
自己破産から一定期間が経過すると信用情報が真っ白になりますが、「履歴が何もない=審査に通りやすい」とはなりません。
むしろ、ある程度の年齢の社会人の場合、クレジットカードや分割払いを利用して毎月確実に支払っているほうが、その履歴が優良な信用情報となり、審査に通りやすくなります。
まずは比較的審査が緩いとされる会社のクレジットカードを作成し、買い物やネット通販の支払い、スマートフォンの分割払いなどで実績を積みましょう。半年~1年程度続けるとプラスの信用情報になると言われています。
(5)頭金を多く用意する
ローンの頭金を多く準備しておくと、ローンの借入額を減らせるほか、まとまった頭金を貯蓄できる収入や計画性が推認できるため、審査に有利に働きます。頭金の目安は車の価格の2~3割程度と言われていますが、審査に不安がある場合は多めに用意したほうが良いでしょう。
(6)自分の経済力に見合った車を検討する
「せっかく買うのだから新車で、こんなデザインで、こんな機能がついていて…」と高価な車に目が行くのは自然なことです。しかし、自分の現在の収入や支出の状況に照らして、無理のない価格帯の車を選ぶことも大切です。コストパフォーマンスのよい車を選べばそれだけカーローンの額をおさえられ、審査に通りやすくなります。
(7)ローン審査には1社ずつ、間隔を空けて申し込む
複数の会社に申し込んだ方が、審査に受かるのではないかと考える方もいますが、これは逆効果です。ローンの審査申し込みは、信用情報機関の履歴に残ります。「こんなに短期間に申し込んで、お金に困っているのではないか」「審査に通るか不安があるのではないか」、と逆に不審がられて、審査にマイナスに働きます。
ローンの申し込みは一社に絞り、審査に落ちたら1~3ヶ月程度の間隔を空けて別の会社に申し込むようにすると、疑われないでしょう。
自己破産後にローン以外で自動車を利用する方法
自己破産後すぐに車が必要になった場合や、自動車ローンの審査になかなか通らない場合、もう借金はしたくない場合などには、以下の方法で自動車を利用することができます。
(1)車を現金一括で購入する
支払い時に信用情報が問題となるのは、ローンや分割払い、クレジットカード払いなどで、現金一括購入であれば問題ありません。車は高価なもの、というイメージがありますが、中古車販売店では5万円程で入手できるケースもあります。
また、友人や知人から古い車を買う、インターネットの個人間の売買サイトを利用するといった手段で、中古車販売店よりさらに安く買える可能性もあります。
ただし、中古車である分、走行距離が多い場合や、整備不良のリスクがある点は理解したうえで購入しなくてはなりません。
(2)家族や友人から借りる
毎日車を使うわけでない場合は、家族や友人から無償、または格安で車を借りて使うのもよい方法です。自分で購入するのと違い、維持費がかからないのも大きなメリットです。カーローンのブラックリスト期間が過ぎるまでの間だけ利用させてもらうのも手でしょう。
(3)レンタカー・カーシェアリングの利用
車を頻繁に使わない場合は、レンタカーやカーシェアリングを利用することでコストを抑えられます。どちらも、現金一括払いもしくはデビットカードでの支払いが可能であれば問題なく利用できます。
レンタカーは、車を有料で借りるサービスで、カーシェアリングは一台の車を複数の会員で共有するサービスです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、車を利用する目的や時間帯、頻度などでサービスを選びましよう。
(4) 車のサブスプリクションサービスを利用する
車のサブスクは、リース会社が購入した車を月額定額制で長期間利用できるサービスです。車の保険料やメンテナンス費用は月額料金に含まれている場合があり、追加料金が発生しにくいという特徴があります。
契約満了後に乗り換えや返却が必要な点がカーリースと違います。頻繁に車を利用する人が初期費用を抑えながら車に乗りたい場合に向いています。
カーリースは信用情報機関に照会がされるタイプの契約なので、カーリースのように車を利用したい場合は、車のサブスクを利用すると良いでしょう。
自己破産前に気をつけるべき行為
車に関し、自己破産前や手続き中に注意したほうが良いポイントをまとめました。
(1)裁判所にカーローン存在を隠さない
裁判所にカーローンの存在を隠すと、「免責不許可事由」と言って裁判所が免責を出さないケースに該当します。
自己破産をするとカーローンも免責されますが、ローンの契約に所有権留保がついている場合、今まで使っていた車をローン会社に引き上げられてしまいます。とはいえ、カーローンの存在を隠して自己破産をしてはいけません。
カーローンの存在を黙ったまま自己破産手続きをした場合、破産法に規定されている免責不許可事由に該当します。免責とは、借金をゼロにする非常に重要な制度で、これが不許可となると自己破産をしたのに借金がそのまま残ってしまいます。
さらには、破産詐欺罪として処罰対象になる恐れもあるので、正直に申告しましょう。
(2) 裁判所に高級車の所有を隠さない
売却価格20万円を超える車を持っているのに、裁判所に秘密にすると、「財産隠し」として免責不許可事由に当たります。
自己破産は借金をゼロにできますが、その代わり、一定額以上の財産を持っていると、裁判所によって処分・換価され債権者に配当されます。「一定額以上」とは、裁判所にもよりますが、東京地裁の場合は20万円以上とされています。
一般的な車の場合、数年乗り回せば売却価格は20万円以下になりますが、特殊な車両や高級車などは20万円を超えることがあります。
特別な車ほど手放したくない気持ちになりますが、自己破産する場合は隠し立てをせず申告しましょう。どうしても手放したくない場合は、個人再生や任意整理などの手続きを検討しましょう。
(3)カーローンだけ先に弁済しない
「自己破産前にカーローンだけを弁済すれば、車は引き上げられない」と、カーローンのみを優先的に弁済するのも免責不許可事由に当たります。これを「偏頗(へんぱ)弁済」と言います。
(4)自己破産前に車の名義変更をしない・不当に処分しない
自己破産手続直前に車の名義を家族名義に変更したり、20万円以上の価値があるのに友人に数万円で売ったりするなどの行為も、免責不許可事由に当たります。
ただし、中古車の市場価格に照らして、適正な価格で家族や友人に売るのであれば問題はありません。この場合、親しい人とのやりとりであっても、売買契約書、領収書と言った書類を作成し、破産手続上問題のない取引であったことを証明できるようにしておきましょう。事前に弁護士に相談し、アドバイスを受けると安心です。
この記事の監修者

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中央大学大学院法学研究科⺠事法専攻博士前期課 程修了
前東京地方裁判所鑑定委員、東京簡易裁判所⺠事 調停委員
東京弁護士会公害環境特別委員会前委員⻑


